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アジア太平洋・プライベート・エクイティ・レポート2015
アジア太平洋・プライベート・エクイティ・レポート2015
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レポート
2014年のアジア太平洋地域のプライベート・エクイティ(以下、PE)の運用成績は、全般的に最高水準を記録しました。ベイン・アンド・カンパニーが発表したアジア太平洋・プライベート・エクイティ・レポート2015によると、日本における案件は、新規案件総額が過去の平均的水準である60億-80億ドルを下回る一方、エグジット総額は過去最高値である180億ドルまで拡大しており、結果は強弱入り混じったものとなっています。日本経済の好調さが、まだ残っていた過去の低調案件のエグジットを促した一方、案件獲得競争はより厳しいものとなっており、PEまたはジェネラル・パートナー(以下、GP)として、良好なモメンタムを将来にわたって維持するためには、一層の努力と創造性が必要となってきています。
アジア太平洋地域の経済が停滞に陥った2011年以降、PE業界の復調は、GPが投資家に多くの資本を返せるか否かと、着実な投資リターンの向上が要件となっていました。この両点において、2014年の市場は好調を示しています。ベインの調査によると、リミテッド・パートナー(以下、LP)のアジア太平洋におけるキャッシュフローが初めて黒字化し、GPへの投資1ドルに対し、約1.2ドルのリターンを受けています。これは、投資家の利益が当初投資額を遂に上回ったことを示しています。また、LPの投資リターンの中央値が、2012年後半から2014年6月にかけて、約9%から約11%に上昇したのに加えて、上位4分の1のファンドの投資リターンは19%を記録しており、長年のLPの忍耐は遂に報われた結果となりました。
ベインの東京オフィスのパートナーであり、日本におけるPE業界のエキスパートでもあるジム・ヴェルベーテンは「昨年の実績は、LPがアジア太平洋へ投資する必要性を証明する結果となりました」と述べています。また「近年の不安定な経済状況から浮上するにつれて、PEファームはポートフォリオの最大価値実現と持続的な成果を求めるようになっており、この流れは勝者が全てを獲得する環境において、今後マーケット以上の成績を長期的に上げていく一助となるでしょう」と指摘しています。
日本には豊富な機会が存在
アジア太平洋地区のPE業界の経営幹部145人を対象としたベインの調査では、日本のGPに関して楽観的な見解が見られました。ほぼ6割の回答者がディールは活発化し、成長率は年率10-25%以上となると予測しています。
ベインの分析によると、アジア太平洋地域のPE市場は、「希望的かつ投機的な市場」から、「有望かつ持続可能なポートフォリオに根付いた市場」に移りつつあることを示す兆候が認められました。
今後の課題
ベインの調査によると、日本の投資家のうち80%(アジア太平洋地域平均は54%)は、2008年以前に投資し、未だエグジットしていないポートフォリオが、今後市場平均を上回るリターンを上げるうえでの障害となっていると答えています。
また当レポートでは、アジア太平洋のPE業界が、長期及び安定した成長を続けていくための主要な課題についても明らかにしています。
あるだけの資金を単純に投資するだけの環境は早晩終わりを迎え、2015年のGPはアジア太平洋の新たなモメンタムを持続可能なものとするための、創造的な道を探ることになるでしょう。投資家による選考が厳しくなるに従い、PEファームは投資先企業への関与をより強め、オペレーション改革や人材選考、M&A及び資本最適化により最終損益の改善を図ることが予想されます。「Good Buy」は未だに成功案件の必要条件ではあるものの、今日の環境で市場平均を上回る収益を上げるには、「Good Buy」をさらに良い投資に変えることがより重要となるでしょう。